紙に書く
出張先のホテルの最寄り駅に、無印良品が入っている。
そこで、私は単行本サイズのメモ帳とアルミ製の万年筆を買った。
私はボールペンで文字を書くのが苦手だ。日ごろからミミズのような文字を書く。
ボールペンは書いている時の紙との引っかかりがないから、
ミミズ文字がさらに流れて溶けたようになる。
タイピングするのとは違い、紙に文字を書いていると思考がいい具合に遅くなる。
なんだろう、身体からの返しを認識して処理しながら書くからだろうか。
出張先で特殊な何か面白いことがあったかといえばそうでもない。
ただ、紙に文字を書くようになっただけ。
あのメモ帳に書かれた言葉は自分の言葉だった。久しぶりに見た。
自分の言葉を失うことへの恐怖はまだあるけれど、
紙に書くことが対症療法になればいいなと思う。