宮内由香さんの作品について

数学の話ばっかりも何なので、最近読んだ漫画について

 

宮内由香

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E5%86%85%E7%94%B1%E9%A6%99

たまたま、古本屋で買った彼女の最新作「未完の恋」を読み、ひそかなマイブームとなっていた作家さんです。

  

私が読んだのは、「未完の恋」「恋愛賛歌」「青の時代」の3冊です。どれも基本的に短編集です。

後ろの二つは成年向けで、茜新社(LO)から出ているので、ロリものです。

「未完の恋」は百合漫画でした。

 

上の順番で感想を述べていきます。

まず、「未完の恋」から。

百合ものと聞くと、私はどこか甘い感じを想像してしまうのですが、甘さがない作品がちらほら。

その甘さのない感じはどこから来たのかをちょっと考えてみたのですが、それは一方通行を一方の側から描いていないところから来ているのかもしれません(当たり前のことかもしれないですけど)

連載ものの恋愛マンガはどうしても双方から、加えて第三者の視点からも描かないといけませんが、短編は片方からでダレることがないので、そこが強みなのですかね。

また、短い話(7p)ですが、「3年前の…」という作品。これが素晴らしい。セリフがまったくないのですが、何気ないしぐさ、カット、表情、それだけで会話を想像でき、二人(カップル?)の間の空気感を味わえます。

 

続いて、「恋愛賛歌について」

単行本としては2冊目ということで、まだ絵が少し粗いところがあります。しかし、内容はロリものならではで、大人になりたい思春期の子供の心境を性を通して描いているといったところ。「青の時代」でもこのテーマは共通しているようです。

 女性作家ならではなのでしょうか、早く大人になりたい子供が「体」だけ大人になろうとする話が多いです。

でも、子供なので心も体もまだまだ子供なのです。故に失敗?します。 大人になりたいという意志は子供だからでこそ持てるものなんでしょう。

他に挙げられる利点としては、「未完の恋とは」逆で、相手の気持ちや周りの人(思春期では気になりますよね)の影響をきちんと書いているところです。

 一つ話を挙げましょう。「もう一人の私へ…」という話。

双子の兄妹が同衾しようとする話なのですが、もちろん和姦ではありません。

同じ様に育ってきた私とあなた、なのに急にあなただけ大人になってしまう。

この話の場合、主人公の女の子はお赤飯がまだなのですが、その彼女の気持ちの根底にあるものは多くの人が感じたことのあるものかもしれません。男の子を自分の体として捉えると……。

 

他の話ですが、女性器を傷に見立ててる比喩が良かったです。傷(溝)を埋めてもらおうと必死な女の子の、傷は広がるばかりなのでした……。

 

 

最後に「青の時代」。三冊目の単行本。絵は大分安定してきています。前作よりかエロよりです。

エロを抜くと、前作は「大人になるということを知る」といった感じでしたが、こちらの内容は「大人になっていくことを感じる」といったところです。そういう風に私は取りました。

その分、刺さるような話はなかったです。ほんわかと読めました。

気に入っている表現は大人の男性のセリフなのですが、「俺は君が幼かったからしたんじゃなくて、、君が大人になるのを待ちきれなかっただけなんだよ」です。女の子の「中学生じゃないとダメ?」という発言に答える形で出て来たセリフでした。

大人になりたい思春期の子供を~と先に書きましたが、体の変化に対する反応としては、「早く、心も体も大人になりたい」か「子供のままでいたい」に大別されると思います。前者ばかりではなく、後者にもスポットライトを当てているところが個人的にきました。(実際はこの二つの感情が入り乱れますよね。その女の子も事は済ませているので、そうだったのだと思います)

 

(ついでですが、「青の時代」では百合のHな話も一本収録されています。なかなかいい話でした。大人の安定感の悲しみ、みたいなものを感じました)

 

簡単な感想はこんな感じです。

全体として、描写が上手な漫画家さんだと思います。

エロ本としては実用性に乏しいですが、一読の価値ありだと私は思います!

良かったら読んでみてください!